個人で家事代行を始めようとすると、料金表づくりで意外と迷うのが「交通費」です。

「大手が880円なら、自分も880円にすればいい?」「車で訪問する場合、ガソリン代だけ考えればいい?」

結論から言うと、880円は参考になりますが、誰にでも合う金額ではありません。 自分が訪問できる範囲と、実際にかかる移動経費を確認してから決める必要があります。

この記事では、交通費の決め方を3つの手順で整理し、金額の違いが収支に与える影響を具体例で見ていきます。

先に疑問だけ確認したい方へ「交通費を0円にしていい?」「お客様によって金額を変えてもいい?」と迷っている方は、よくある疑問を見るから先に読めます。

大手の交通費はいくら?

まず、家事代行サービス各社の交通費を参考にしてみましょう。

サービスお客様が負担する交通費仕組み
CaSy(カジー)1回880円定額で別途請求
ベアーズ1回990円条件によってバス代440円が追加される場合あり
タスカジ依頼ごとに異なる登録された最寄り駅間の運賃などをシステムで算出

※2026年11月7日に各社公式情報を確認。サービス・地域・条件によって異なる場合があります。

特にタスカジの金額は、実際に使った交通手段の費用をそのまま精算する仕組みではありません。登録情報をもとに計算された金額を受け取るため、実際の支出と違う場合があります。

つまり、「家事代行の交通費は880円」と決まっているわけではないということです。大手の金額は比較材料にとどめ、自分の働き方に当てはめて考えましょう。

最初に「受け取る交通費」と「移動経費」を分けよう

交通費を考えるときは、似ている2つのお金を区別します。

  • 受け取る交通費:お客様から交通費として受け取るお金
  • 移動経費:訪問のために自分が負担する電車・バス代、ガソリン代、駐車料金など

例えば、お客様から交通費を880円受け取っていても、実際の移動に1,200円かかれば、差額は320円です。その320円は、サービス料金から補うことになります。

反対に、受け取る交通費が0円でも、移動経費が0円になるわけではありません。いわゆる「交通費込み」の料金でも、移動にかかるお金を織り込む必要があります。

また、通常の交通費請求では、お客様から受け取った交通費と、仕事のために支払った交通費を別々に記録します。単なる立替精算など、契約内容によって会計上の扱いが異なる場合もあるため、記帳や税務判断は個別に確認してください。

交通費を決める3ステップ

1. どこまで訪問するか決める

まず、主な訪問エリアを決めます。

自宅から片道15分程度の範囲に絞る場合と、片道45分の場所まで受ける場合とでは、移動経費も使う時間も変わります。

地図を見ながら「通常エリア」と「エリア外」を分けておくと、交通費の条件を考えやすくなります。特に車移動では、距離だけでなく渋滞や駐車場所の有無も確認したいところです。

2. 1回の訪問にかかるお金を出す

想定する訪問先を2〜3か所選び、往復の移動経費を試算します。

電車なら往復運賃、車ならガソリン代と駐車料金などです。仕事で車を使う場合は、燃料費だけでなく、保険・整備などの車両関連費用のうち事業に関係する分も、料金全体を考える際に無視できません。

ここで出した金額は、必ずしもお客様にそのまま請求する額ではありません。まずは自分の負担を知るための数字です。

3. お客様からの受け取り方を決める

移動経費が見えたら、次の3方式から選びます。

方式こんな場合に検討しやすい気をつけたいこと
定額制(例:1回880円)近い範囲への訪問が中心遠方の訪問では実際の経費が上回る場合がある
実費相当を請求距離や交通手段にばらつきがある何を含めるか、見積もり方法を事前に伝える
サービス料金に含める訪問エリアが狭く、料金を単純に見せたい交通費を別に請求しなくても移動経費は発生する

どれか一つが正解というわけではありません。

例えば「通常エリアは一律880円、エリア外は事前見積もり」「駐車料金のみ別途実費」といった組み合わせも考えられます。大切なのは、お客様ごとに場当たり的に金額を変えず、説明できるルールを持つことです。

880円受け取っていても、月の収支は変わる

同じ料金でサービスを提供していても、移動経費が違えば残るお金は変わります。

以下は実在の事業者の実績ではなく、比較のために条件を置いた試算です。

  • サービス料金:1時間2,800円 × 2時間=5,600円/回
  • 受け取る交通費:880円/回
  • お客様の支払総額:6,480円/回
  • 訪問件数:週4件(1か月を4.33週として月平均17.32件)
  • 作業時間:1回2時間、往復移動時間:1回1時間
  • その他の経費:月6,000円

違うのは、1回あたりの移動経費だけです。

比較する項目ケースAケースB
1回の移動経費880円1,200円
受け取る交通費との差0円−320円
月の売上約112,234円約112,234円
月の経費控除後・税引前90,992円約85,450円
移動時間込みの実質時給約1,751円約1,645円

ケースBの移動経費1,200円は、ガソリン代相当700円+駐車料金500円と仮定しています。車両の保険・整備費などをすべて含んだ金額ではありません。

交通費の差は1回320円でも、月平均17.32件では約5,542円の差になります。

ここで注目したいのは、サービス料金も訪問件数も同じという点です。「お客様からいくら受け取るか」だけでなく、「どの訪問にいくらかかるか」も収支を左右します。

※「経費控除後・税引前」は手取りではありません。所得税・住民税・社会保険料などは含めていません。実質時給は作業時間と往復移動時間で割った目安で、予約調整・事務作業等の時間も含めていません。

自分の数字でも確認したい方へ

ニドノワの無料・料金/収益シミュレーターでは、「お客様から受け取る交通費」と「自分が負担する移動経費」を分けて入力できます。訪問件数・移動時間なども入れ替え、必要なサービス料金や収支を試してみてください。

決めた交通費は、料金表にも書こう

金額を決めたら、あとから認識が食い違わないよう、お客様向けの料金表や訪問条件に書いておきましょう。

最低限、明記したいのは次の4つです。

  • 交通費の金額・計算方法と、1回あたりかどうか
  • どの地域まで通常料金で訪問するか
  • エリア外の場合の追加料金や見積もり方法
  • 駐車場がない場合の駐車料金の負担先

例えば、定額制なら「通常エリア内は交通費880円/回。エリア外は事前にお見積もりします」といった書き方です。

「交通費は実費」とだけ書く場合も、電車・バス・駐車料金のどこまでを含めるのか、依頼を受ける前に伝えておきましょう。

よくある疑問

交通費を0円にした方が、お客様は頼みやすい?

支払総額が分かりやすくなる可能性はあります。ただし、交通費を別に請求しない場合も移動経費は発生します。「無料だから得」と決めつけず、サービス料金に含めても採算が合うかを先に確かめましょう。

お客様によって交通費を変えてもいい?

距離や交通手段に応じて変えること自体は、料金設定の方法として考えられます。ただし、同じ条件なら同じ計算になるルールを作り、依頼確定前に金額を伝えることが大切です。

まとめ:大手の金額を写す前に、自分の条件を確認しよう

交通費は880円にすればよい、というものではありません。

訪問エリアを決める → 実際の移動経費を出す → 交通費の受け取り方を選ぶ。 この順番で考えると、自分に合った料金ルールを作りやすくなります。

交通費を決めることは、単なる料金表づくりではなく、どの範囲で無理なく働くかを考えることでもあります。

料金全体を目標収入から逆算したい方は、関連記事「家事代行で独立して月10万円を目指すには?」も参考にしてください。

参考資料・注意事項

※交通費等の条件は2026年11月7日に公式サイトを確認した内容です。今後変更される場合があります。税務・契約上の取り扱いは個別事情により異なるため、必要に応じて専門家や公的窓口に確認してください。

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